先進医療

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先進医療とは?

先進医療とは?

先進医療は、厚労省が認定した医療機関でのみ、保険診療と並行して自費診療で先進的な医療を受けられる制度です。つまり認定医療機関では、先進的で高度な医療を保険診療に組み合わせて受けられるということです。

当院では、不妊治療で認めらてれいる先進医療のほとんどが実施可能です(一部、当院が効果が薄いと考えているものを除きます)。また、医療保険で先進医療特約を付けている場合、保険会社に申請が可能なケースもありますので、ご自身の保険契約内容を確認していただくことをおすすめします。

タイムラプス胚培養(先進医療)

胚培養には、「子宮内と同じように胚を育てる」「胚の受精・成長を観察する」という2つの視点があります。

胚を育てる培養器は、体内に近い環境を保つことが大切です。しかし、従来の培養器では、受精・成長の確認のたびに培養器から取り出さねばならず、胚にストレスをかけていました。また、ストレスを減らすために限られた時点でしか観察ができませんでした。

当院では、培養器から取り出さずに胚の培養と観察が可能なタイムラプス胚培養を導入しています。これにより、受精卵に優しい環境で培養を行うことが可能となっています(複数のクリニックから、胚盤胞到達率が約10%向上するとの報告があります)。

タイムラプスとは、1つ1つの胚を一定の間隔で写真に撮り、それらを繋ぎ合わせて動画のようにする技術で、これまで観察できなかった、受精から胚盤胞ができるまでの一連の変化を観察することが可能になりました。
今まで行われていた観察よりも多くの情報が得られるため、複数の胚が凍結できた場合は、これらの情報をもとに良好な胚を選ぶことができるため、妊娠率の向上が期待できます。

タイムラプス胚培養(先進医療)

IMSI(先進医療)

IMSI(先進医療)

顕微授精の精密な精子選別方法の1つです。一般的な顕微授精では400倍で使用する精子を選択しています。IMSIでは、より倍率の高い1,000倍以上で精子頭部を拡大することで(精子頭部の空胞の有無などを観察)、より詳細に精子の形態を判別することが可能となり、胚発生の改善や妊娠率の向上等が期待できます。

PICSI(先進医療)

顕微授精の精密な精子選別方法の1つです。DNA損傷の少ない成熟した精子は、ヒアルロン酸に吸着する性質があります。PICSIによって成熟した精子を選別することで、胚盤胞到達率の改善、流産率の改善が期待できます。

Polscope法(先進医療ではありません。必要な状況の方には無料で行っております)

Polscope法

Polscope法は、卵子の成熟度を正確に判断し、最適なタイミングで顕微授精(ICSI)を行う方法です。また、卵子内の紡錘体(染色体を引き継ぐ大切な構造)の位置を確認できるので、顕微授精の際に針で紡錘体を傷つけるリスクを減らすことができます。
何回かICSIを行っても妊娠しない場合や、抗セントロメア抗体が陽性の方に有効であるとの報告があります。

SEET法(子宮内膜刺激法・先進医療)

SEET液は、胚培養にて胚盤胞が浸っていた培養液をSEET液と呼びます。SEET液には、受精卵が成長する過程に排出される伝達物質が含まれていると考えられています。凍結胚盤胞を移植する2~3日前に、このSEET液を子宮内に注入して子宮内膜の環境を整えてから移植することで、着床率の向上が期待できます。

二段階胚移植法(先進医療)

胚盤胞を移植する2日前に、初期胚を移植する方法です。つまり1周期に初期胚1個と胚盤胞1個の合計2個の胚を移植することになります。
最初に移植した初期胚が子宮内膜に作用し、着床の準備を進めることで、その後に移植する胚盤胞の着床率が上昇すると考えられています。
ただし2個の胚を移植するため、双子になるリスクがあります。

ERA・ERPeak(着床の窓・先進医療)

ERA・ERPeak(着床の窓・先進医療)

子宮内膜が受精卵を受け入れられる期間は比較的短く、これを「着床の窓」と言います。子宮内膜胚受容能の遺伝子発現パターンを解析することで、着床の窓にずれがないか、より良い移植タイミングはいつ頃なのかを調べます。
当院では、この検査結果と他の要因を考え合わせて、最適な胚移植時期を提案することもあります。

子宮内フローラ(子宮内細菌叢検査2・先進医療)

子宮内の環境は、乳酸菌が多い方が妊娠率が良いことがわかっています。子宮内の細菌の構成バランスが良くない場合は、悪玉菌を抗生剤で減らし、ラクトフェリンやプロバイオティクスなどのサプリメントで善玉菌(乳酸菌)を増やす治療を行います。

スクラッチ法(先進医療)

子宮内膜スクラッチング法とは、胚移植を行う予定の前周期で黄体期の子宮内膜を軽く擦過します。その機械的刺激による内膜の修復過程でサイトカインや成長因子が放出されることで、脱落膜化が促進されたり、子宮内膜の創傷治癒過程において幹細胞を活性化し、子宮内膜の機能が高まり着床率の情報が期待されます。

ZyMot法(膜構造を用いた生理学的精子選択術・先進医療)

ZyMōtスパームセパレーターとは、従来法のような遠心分離は行わず、精子自らの運動性をもって良好な精子を選別する方法です。遠心分離では物理的に精子DNA損傷が生じるリスクがあります。ZyMot法では遠心分離を経ずに精子を回収できるためにDNA損傷の少ない精子を選択し、良好胚盤胞到達率上昇や流産率低下が期待されます。
(最近では、敢えて遠心分離と併用することが更に良好な結果を得られるという報告もでてきています)

透明帯除去培養法(ZPF)

透明帯除去培養法(ZPF)は、受精卵の分割が開始する前(限られた2-3時間)に、透明帯から胚本体を分離して、胚培養を行う技術です。胚発生が不良な(良好胚盤胞を得られない)原因として、胚本体が透明帯に強く癒着しているケースがあります。癒着が強いと、分割時に胚本体が損傷しやすく(フラグメンテーションが多量に発生する)、初期胚(分割胚)のグレードが4.5ばかりになります。グレード4.5の胚はその後の胚発生も不良で、胚盤胞に到達しないことが多く、到達しても低グレードで妊娠に至らないことが多いです。
ZPFでは、分割前に胚本体を透明帯から分離する事で、分割時の胚本体の損傷を抑える(フラグメンテーションの発生を抑える)可能性が期待されています。
今までにない革新的な方法で、とんでもなく改善することもある一方で、結果がまったく改善しないことも多いようです。
当院では、該当する難症例に適用することがあります(患者様の同意の上で)。
また、自費診療ではご希望される方に、1個11,000円(準備費11,000円)で実施することも可能です。