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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは?
「昔からずっと月経不順で…」という方は、多嚢胞性卵巣症候群であることが多いです。日本では、実に生殖年齢女性の6〜10%に多嚢胞性卵巣症候群が認められると報告されています。
診断基準
「月経異常」「多嚢胞性卵巣(片側卵胞に10個以上の卵胞あり)」「血中男性ホルモン高値 or LH基礎値高値かつFSH正常値」の3つの診断基準がありますが、実際のところ、「エコー検査(超音波検査)で多嚢胞性卵巣が見られ、月経が乱れているかどうか」が、不妊治療を行うかどうかのポイントとなります。
適切な卵巣刺激で、排卵を回復させれば、最終的には妊娠まで行きつくことができるケースがほとんどですので、過度に心配する必要はありません(ただし、肥満を伴う場合は減量・規則正しい生活も重要です)。そういう意味では、月経が規則的に30日周期である人よりも、通院する価値は高いと言えます。
多嚢胞性卵巣だと妊娠しにくい?
「多嚢胞性卵巣だと妊娠しにくいの?」という質問を受けますが、これは半分合っていて半分間違っています。
月経とは、排卵があった約2週間後に起こるものです。30日周期の時は15日目くらいが排卵日で、60日周期の時は45日目くらいが排卵日だったということになります。多嚢胞性卵巣だと、月経周期は30~75日くらいという方がよくおられますが、すなわち排卵日は15~60日くらいと推察されます。30日周期の方と比べると、排卵日の幅が広すぎるため、タイミング(性交日)と排卵日を合わせることが圧倒的に難しくなります。また、月経周期が45日を超えるような時は、月経が来ても無排卵周期といって排卵がなく、その周期のチャンスはゼロということもあります。
排卵誘発剤を用いて、丁寧に卵胞を育てて、排卵日を同定してタイミングをとることができればきちんと妊娠できます。つまり、「排卵日を予測しにくいために妊娠しにくいが、排卵日さえ同定できれば(多嚢胞性卵巣でない人と)妊娠率は同じ」なのです。
注意点①
ほとんどの方が適切な排卵誘発で排卵させることができますが、ごく一部の方は内服薬や数回の注射では卵胞が育たず、体外受精を含む他の治療法をおすすめすることがあります。
注意点②
体外受精に進んだ場合、卵胞はたくさんありますので採卵結果は良好なことがほとんどですが、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)リスクは通常よりも高めです。